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高齢者介護施設での香の会

 

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 10 月中旬、秋晴れの水曜日、高齢者介護施設で香の会を行いました。 4年前からボランティア活動として、年に 2〜3回ほど香の会をしてきました。

 今回は、午後2 時から 1 時間の設定で、8種類の香をまわしました。参加される 方々の気力、体力などを考え、1 時間の枠内で収めるようにしています。参加者は14 人、うち 13 人が車椅子を利用されています。

 リハビリルームの一角に、大きなテーブルを2 つ配置し、それぞれのテーブルに介護士の方が一人つきます。

  最初の頃は、香炉を隣りに人にうまく手渡しでまわせるか、途中で飽きてしまう方が出てきたらどうしょう、もっと基本的なことで、そもそも香りに関心もってもらえるだろうか、といろいろ心配しました。  

 でも、何回かやってみると心配は杞憂だということが分かりました。それまで施設の日常生活では、ほとんど喋らなかった方が、ぽつりと「いい香り」と言葉を発してくれたり、それには職員の方もびっくりしたとか、ふと香りにまつわる思い出を話してくれたり、香炉を隣りの人に手渡しすることで、それまで互いに無関心だった方々同士の間でコミュニケーションが生まれたり、とポジティブな手応えがありました。

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 毎回、テーブルに自然の草花を置いています。季節の庭木や雑草を採ってきて、ボウルに生けます。今回は、草花のまわりに色づきはじめた落ち葉、ドングリ、シイノミや柿、石榴の果実なども並べました。  

 会の手順は、まず焚く香の説明から入ります。上の写真のような感じで、 それぞれの香の産地の場所がどこにあるか、黒板に張った手作りの世界地図で解説します。その香が歴史的に、どのように使われたきたかなどの話しもします。  

 ついでに、そのままでも香りのする香は、焚く前に、直に触って匂いを嗅いだりもします。この日は、香以外にも、空き地で採ってきた赤シソの葉、庭のラベンダーの葉の匂いも嗅いでみました。  

 何年かここで香の会をしてきて、嗅覚への刺激が心身のリハビリに役立つのではないか、そんなことを感じています。

 

  この日、焚いた香は、ラベンダー、サンダルウッド/白檀、スウィートグラス、フランキンセンス/乳香、アラビアの香(ドバイ)、伽羅、ローズダマスク(バラ)、ミルラでした。

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 ちょっとしたエピソードを紹介します。4 番目に焚いたフランキンセンス(乳香)のときでした。フランキンセンスは木の樹脂です。この日は、それまで花穂、香木、葉といった比較的マイルドな素材を焚いてきましたが、樹脂の香りになり、香りの強さがぐんとアップしました。

 離れた所からも、すぐにその変化が感じられたようで、所々から「香りが強くなった」と声が上がりました。こんな感覚の変化、香りの違いを見つけるのも楽しみのひとつです。  

 次にミルラをまわしました。ミルラも樹脂で、基本的にビターな香りなのですが、仄かな甘さもあります。「甘い香りがするでしょうか?」と聞いてみました。  

 すぐに一人の方が「はい!」と小さく呟きました。 思わず介護士さんから「(分かって)よかった!」と相槌の声。というのは、ミルラの甘さは、香りの奥の方に隠れているので、気づかないこともあるからです。  

 「甘み?」と、聞き返す方もいる。どうも、よく分からないような様子。  横から、また別の方が「焚いたとき最初に出ていた香りと、後になって出てきた香りは、違うんでしょうか?」といったコメント。  

 「だんだんとマイルドな香りになっていくみたい」といった感想を述べる方もいる。  香りがだんだんマイルドになっていくってことは、別の言い方をすると、奥の方で仄かな甘さを感じるってことだと理解しています。  

 こんな感じで、香りから、そのときの感覚を振り返り、反芻したり、あるいは、どんなふうに感じたか、他の方と会話が生まれたり、そんな話しを聞くのは、とっても勉強になっています。

 

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