近所の神社をハクビシンが歩いてました

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 上の写真、千葉県関宿の江戸川の河川敷にいたタヌキ。 1メートルぐらいか、大きくて胴回りも太い。図鑑ではホンドタヌキの胴長は 50 〜60センチとのこと。タヌキってこんなに大きくなるんでしょうか?

 

  真夏の蒸し暑い夜、 いつも歩いている天祖神社の境内でのこと。 ここは世田谷線の上町駅のそばにある小さな神社。境内を抜けると世田谷通りに出られる近道になっていて、朝晩、ここをよく通る。子供の遊び場やベンチがあり一休みしたりもする。 冬のボロ市のときは、ここに代官餅や植木を売る露店が並ぶ。

 ケヤキの大樹の近くのベンチに座って、暈のかかった月をぼーっと眺めてました。深夜なので、境内の人通りは途絶えてる。

 唐突に、目の前の地べたを細長い動物がスルスルと歩いていく! 歩くというよりはモノレールが滑っていくような感じ。ケヤキの幹の脇、 4 メートルほどの距離。そのまま植え込みの暗がりに姿を消した。すぐハクビシンだと分かりました。 5〜6 年前から近所の野生動物探しがマイブームになってて、判別には自信がある。

 ネコよりも大きく、犬よりも胴長で重心の低い体型、体の大きさに比べると小顔、顔の真ん中の白い縦のライン(漢字では「白鼻芯」と書く)、長いしっぽ、以前、上野動物園に見にいって、ハクビシン特徴をつかんでたので間違いない。

 翌日、この話しを知り合いにすると、野生動物が人間の存在に気づかず歩いていくなんて・・・それほど人の気配が消えてたとは、忘我というか、そこまでぼーっとしてる人 滅多にいないよ、と妙な感心をされた。

 忘我ねー・・・忍者が姿を消す隠れ身の術とか、ヨガの行で透明人間になる話しも、同じ理屈じゃないかと思う。  我が身を振り返ると、心身の最も心地よい状態は、ぼーっとしてるとき。どこかに行くとか、何かする、よりも今、ここでぼーっとしてる方がいい・・・ Be Here Now のような、いや、怠惰なだけ。

 

   ちょっと調べると、都内ではハクビシンの数が増えているようで、察するにタヌキより多いと思う。

 ハクビシンは、日本に生息している唯一のジャコウネコ科の動物、椰子ジャコウネコとも呼ばれる・・・ということは臭腺の分泌物を集めれば、霊猫香(シベット)みたいになるかも。その官能的な香りは、麝香(ムスク)、竜涎香(アンバーグリス)と並び称されている。

 事実、害獣としてハクビシンを捕獲している業者さんの HP を見ると、独特の匂いを発すると書かかれてる。とはいえ分泌物の臭いを直に嗅いでも不快な匂いなので、アルコールで希釈した香りが香になるのですが。

 ハクビシンは、在来種か外来種かについて議論されてきた。江戸時代に雷獣(らいじゅう)と呼ばれた妖怪というか UMA(未確認生物) はハクビシンだっという話しはよく知られている。もし雷獣=ハクビシンだったら在来種説の裏付けになるのだが、アナグマとかイタチとか他の動物だったという説もあってよく分からない。

 ところで、明治初めに生まれた岡本綺堂は雷獣について、こんな話しを書き残してました。

 「日光なんぞの山のなかに棲んでいるのは当たりまえでしょうが、江戸時代には町中へも雷獣があらわれて、それをつかまえたという話しはたびたびありました。明治になってからも、下谷に雷が落ちたときに雷獣を見つけて捉まえたということを聞きました。」( 『江戸についての話し』岸井良衛編)

 いろんな本を調べると、ハクビシンが初めて捕獲されたのは、そんなに昔のことではなく、1943 年(静岡県湖西市)という記録が残っている。また1967年の時点で、生息が確認されていたのは、全国で高知県静岡県だけだったとか。どうも在来種とは考えにくいようです。

 

 タヌキは木に登れない。 ネコも木に登りますが、ハクビシンは、もともと樹上生活をしていて木登りはネコよりも格段に上手。ネコは、木から降りるようなときの動きがぎこちなく、途中で飛び降りたりしているが、ハクビシンは幹の上から下にもスルスル自由自在に動ける。電線を綱割りするような動きもできる。このあたり動物園で木登りしている姿を見れば納得してもらえると思います。

 タヌキの活動は平面、いわば二次元の世界、当然ながら都市の中で住処になる空いている土地は少ない。一方、ハクビシンの活動は、三次元的で、木の洞、都市の人家や物置、倉庫、配管の隙間、廃屋の床下、天井、屋根裏などを住処にしている。

 ・・・そういえば、先の都議選のとき、世田谷区には5万軒の空き家があると候補者がマイクで言ってたのを思い出す。確かに、住宅街で人の住んでいない一軒家をよく目にする。

 結局、ハクビシンは、平面+高さ、三次元的に活動できるところがタヌキにない強みで、数が増えている。

  世田谷線の線路脇にタヌキがいるというポイントが2カ所あった。ポイントの一つ、松陰神社駅と若林駅の間の林では最近もタヌキを見たという人の話しを聞いた。しかしもうひとつのポイントの近況は分からない。また、ここで書いている天祖神社から世田谷通りを渡り、500 メートルほど先、豪徳寺近くの空き地にもタヌキが棲んでいたが、2年前、マンションが建てられ姿を消してしまった。

 一方、ハクビシンについて、近辺の人に聞いていくと、桜新町の米屋さんの裏あたり、弦巻のお寺、実相院の近くと同じく弦巻に残っている畑のあたりで見たという人がいました。直径1キロちょっと円の中に生息地が4カ所はある。

 ・・・最近は、あちこち歩いてるとき、地元の人に「このあたりにタヌキはいませんか」とか「ハクビシン見かけませんでしたか」と聞き回っている。唐突に、初対面の人に聞くので、怪訝な顔されるかと思ってたのですが、案外、丁寧に教えてくれる。

 昨日も中野区の上高田の落合公園で散歩していた団地のおじさんに聞いてみたら、近くにある二カ所の神社にタヌキがいると話してくれました。西武線の向こう側、川の高台の神社の裏には、タヌキの穴があるとも。けっこう詳しい。

 

 昨年末、九州ではアライグマが急増しているという新聞記事を目にした。アライグマは、特定外来種生物です。長崎、佐賀、福岡の3県のアライグマの捕獲数がこの10 年で 30 倍になったとか。

 それとは別の記事ですが、原発事故で避難指示が出され人がいなくなった福島県浪江町の生態系調査で、大型の哺乳類、特にイノシシが増えていることが分かった。

 都会の住宅地ではハクビシン、地方ではアライグマ、無住化したところではイノシシが増えている・・・これは近未来の日本列島の自然を暗示しているのかも。

 「平成狸合戦ぽんぽこ」や「もののけ姫」は、20 世紀後半の日本列島をモチーフにしてました。高度成長から日本列島改造論の時代です。

 一方、 21 世紀後半の日本列島は、どんな感じになるんでしょうか。

 国土交通省の予測では、現在、日本で人が住んでいる地域のうち面積にして 2 割が、2050 年までに無住居化するという。人口減少は、自然にとってはプラスになるはず。     それは山なりのグラフでピークを越えた後、過去の目盛りに戻っていくような、江戸時代みたいな自然のイメージだろうか。

 思うに、そのあたりは過去とは異なった自然、在来種のクマやイノシシ、タヌキ、キツネなどと、外来種ハクビシン、アライグマとかハリネズミキョンヌートリアマングース、ミンクなんかが混在し(すでにこんな状態なのではないか?)、さらに、かって湘南ぐらいまでだったクマンゼミの北限が最近、東京まで伸びてきたように新たに南方系の動物が現れるんじゃないか。

 なんかごちゃごちゃしてますが、古来、日本は「とよあしはらみずほのくに」(豊葦原瑞穂国)と言ってたように高温多湿で魑魅魍魎が跋扈してた風土だったので、そんなに違和感ないように思うのですが。

 

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 上の絵は、幕末、外国人の描いた富士山。バリのアグン山を彷彿させるトロピカルな情景。子供の頃、自分の想い描いてたユートピアは亜熱帯の世界だったので、ある意味、夢の実現なのかも。  

 

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