猫つながり

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 昨日の朝、 松陰神社駅で電車を待っていると、対向側に猫の顔を描いた電車がやってきた。

 車体正面の人相ならぬ猫相、それに白目のところが黄色ってことから、沿線の豪徳寺の招き猫を模したペイントのよう。後で調べると、路線の開通 110 周年の記念でやってるとか。ついでに、「地域活性化」という名分も唱われてます。

 路面電車で渋谷までつながってた頃は、みんな玉電と呼んでたんで、これは猫電。ひとり胸の内で「猫電」「猫電」と反芻し悦に入ってた。

 この電車は、三軒茶屋が終点(というか始発)で、田園都市線に乗り換えるのですが、そっちの路線にはクレヨンしんちゃん電車が走ってました。自分が知らないだけで、全国いたるところで、こんなラッピング電車が走ってるでしょうね。

 ほんとうはどうでもいいことなんじゃないかと思うのですが、ラッピング電車の話しは、世間の、世の中の話題にはなるようで、事実、わたしが、こんなこと書いてるのも話題にしてるわけですから。

 じゃあ、元来、へそ曲りの自分が、なんで世間の話題に迎合(?)してるかってことですが、それはまた別のモチベーションがあるからでして、そのことは文末に書きますので。

 

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 渋谷から副都心線新宿三丁目駅丸ノ内線に乗り換え西新宿駅で降りる。用事をすましてから、ちょうど近くのビルでやっていた催しをのぞく。

 会場内で、ふと、あるテーブルの端に、眼を引くものが・・・場違いな感じで、文字らしきものの彫られた石板が置いてある。何かピンときた。往往にして、こういうとき面白いものと出くわすことがある。

 インド人の業者に聞くと、何だか分からないけど、ハッダから出たものだという。ハッダといえばアフガニスタン東部のクシャン朝時代の仏教遺跡のある地で、近年、盗掘品が市場に出回っている。たぶん、これもそのひとつじゃないかと思う。

 そういえば、昨年、上野の東京芸大の美術館で、アフガニスタンの流出文化財の展示会がありました。これは日本国内で発見されたアフガニスタンで盗掘された壁画や仏像などを集めた展示で、この後、アフガニスタンに戻されるとのことでした。

 仏像と彫像の数は38 点で、全てがハッダ、あるいはアフガニスタン東部から出たものでした。自分の見聞から察するに、推定その十倍以上(もしかしたら数十倍)の数の、同じ出自の仏像、彫像が国内のコレクターや古美術商のもとに収まっているんじゃないでしょうか。

 そのインド人、ウン十万と言ってきた。なるほどね、当然、それは向こうの言い値で、交渉で落ち着く値段、だいたい見当がつきます。

 面白いとは思いつつ、触手は動かなかった。おそらく本物、でも、こういうのに片っ端に手を出していたら、すぐに破産してしまう。ものには優先順位ってことがあります。彫像で状態のいいもの、なにより、それが美しいと感じたものならまだしも。

 

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 それから新宿駅に。東口地下改札口のすぐ隣りにあるベルクで一休み。エッセンゲルクというランチプレートを注文。

 いろんなものが、ちょこちょこと載ってました。ドイツ風なんですが、ちまちましてて、どこか日本っぽい。カウンターテーブルで立ち食い。

 最近、新宿にいくと、よくここに立ち寄る。この店の雰囲気、1970年代の新宿や池袋とか、お茶の水、吉祥寺とか、いろんな街にあった喫茶店とつながる何かを感じます。

 「ベルク通信」という無料のミニコミ新聞が店先に置いてあって、それに目を通しながらコーヒーを飲んでいると、なんかホッとした気持ちになる。

  長い間、浅草や野毛の街がそうであるような場末美の方に傾倒してたので、ベルクのような普通の人で混んでいながら、互いに干渉しない心遣いと、さっぱりしていて、そして親しみのある雰囲気の店って、すっかり忘れてました。

 忘れていた記憶には、サーッと体を吹き抜ける薫風のような爽やかさがありました。

 振り返ると、 70 年代からバブルの前ぐらいまでの間、喫茶店文化みたいなものがあったように思います。当時は、日常のごく自然な光景でしたし、例えば骨董品みたいに物として残ってるわけではないし、今は誰もそういう記憶、口にしないので、そのうち何もなかったかのように消えてしまうんでしょうか。

 現代は、コンビニやコーヒーのチェーン店が典型ですが、店の人とお客の関係がマニュアル化しています。

 ベルクは、マニュアル化する以前の世界にあった店とお客の関係を再現しようとしているように思えました。要は、人と人との関係性の作り方ということで、結局、それが店の雰囲気として現れるんですね。

 

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 山手線で渋谷に。ここで、一件、用事をすませてから帰ることになってて、スクランブル交差点に向かい歩いてると、向こうのハチ公のまわりに人垣が出来ている。

 ハチ公の像といえば、昔は、待ち合わせ場所だったけど、近年、海外からの旅行者が記念撮影する観光名所になっている。いつも人が多いところですが、この日はいつに増して多い。根が野次馬なので、見にいく。

 近づくと、人垣からタイ語インドネシア語が聞こえる。アジアや欧米の家族連れが次々、銅像の横に立って記念撮影をしている。順番待ちもできている。

 ハチ公の銅像の足の下で猫が寝てました。いつもより人が多いのは、この猫の存在でした。

 誰かが、当然、近くにいてここを見ているはずの誰かが、愉快犯的なノリで猫をそこに置いてるんでしょうか(?)。あんな場所で猫が動かずにずっと眠り続けてるのも妙な気がしました。

 朝の猫電車に続いてハチ公猫、と猫つながり!・・・自分の内ではこれはもうシンクロニシティになっちゃっている。だから何? と問われても言葉に詰まりますが、とにかくその勢いで書いたわけです。

 

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