目光と金色に光る観音様

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 今朝、いつもの道を歩いていて、冬の間、建物の合間からくっきりと見えていた奥多摩の山々が春霞で見えない。少し前、寒波、寒波と言ってたのが、暦は雨水になってるのですね。

 そろそろ近所の鮮魚の店に、さよりが出ていないか気もそぞろで、見にいきました。早春になるとまず、さよりの刺身、桜が散るとトビウオと、昔、見よう見まねで包丁捌きを覚えたころインプットされた旬の季節感が染み着いている。

 横道に逸れますが、初鰹は毎年1月から出ているし、6 月になると名札がトロ鰹と書き替わるだけ、秋以降はもどり鰹に書き替わってと、要は、一年中出てるのでこんなワクワク感は少ない。

 と、店に入ってすぐ、 一見、ハゼかハタハタかといった見慣れぬ魚が皿に一山盛られているのが目についた。脇の札に黒いマジックで「目光」と書いてある。

 晩ご飯のおかずにと、これを持って帰ることに。さよりはまだ出ていませんでしたが、それはそれで満足。小振りですが量が多いので半分は刺身、それから唐揚げにしました。

 ネットで調べると、メヒカリは、関東以北では冬から春が旬の魚とある。昔は、二束三文にもならなった魚、大衆魚と書かれてます。底引網で獲ってかまぼこなど加工用に廻されるので鮮魚としての流通はそんなに多くないとか。

 海の深いところにいる魚で、目が大きく、反射光で黄緑色に光って見えるとも書いてある。

 最初に見たときから気づいていました、目が宇宙人みたいに光っているのを。発光しているように見えるので怪しい光といった雰囲気。

 半透明、宝石の中にこんな色のものはない。フローライト(蛍石)に似たような色のものがあったな、と想い出す。そう、葡萄のマスカットの粒を小さくしたような感じ。魚の目の美しさに見とれたのは、はじめてでした。

 

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   谷中の全生庵にある観音様、夕日に眩く輝きます。特に、晴天の真っ青な空と金色に輝く観音様のコントラストは絶妙です。

  全生庵は、谷中の三崎坂沿い、上野台地のゆるい斜面にあるお寺で、毎年8 月、所蔵している幽霊画を公開していることでもよく知られている。

 境内に大きな桜の木があって、これから花見のシーズンに観音様の見物、お勧めします。

 

 はじめて観音様を見たのは、近くの脇道を歩いていたときでした。このあたり一帯は寺町で、お寺と民家が軒を連ねている。壁の向こう、家と家の間に、金色に輝くウルトラマンみたいなのが立っている!

 けっこう大きい、特撮のセット? なんなのかよく分からない。仏像かなとも思いはしたのですが、それにしては、真新しい、ピカピカでメタリックな輝き、人体っぽい姿などが不釣合いに感じられた。

 この観音様が作られたのは平成3年(1991年)と、まだ 27年しか経っていない。高さ6.6 メートル。境内の盛り土した台座に鎮座しているので、10 メートルはあるように思う。離れたところからも見えるわけです。

 ネットを検索すると北村西望の作とある。長崎の「平和祈念像」を作った有名な彫刻家で、1987年、104 歳で亡くなられている。この観音様の起工が1990 年なので、その前のよう、生前に原型を作っていたのでしょうか、もしかして北村氏の以前からあった作品を拡大コピーしたものかも?

 この観音様、近くに寄って見ると、造りがわりと大まかなことに気づきます。また、鍍金ではなく金色の塗料で、ごく普通に塗っている。もともと数十センチ〜 1メートルぐらいの観音像を10 倍ぐらいに大きくしたものだとすると辻褄があいますが、どうなんでしょうか?

 ・・・と書きましたが、日本各地に北村氏作の同じ観音様(聖観世音菩薩、原型はやはりコンパクトなサイズでした)は建立されているようで、全生庵もその一つということでした。

 なるほど、よく目にする観音様は、明の時代に造られたふくよかな女性の姿をした仏像が基になっていて、江戸時代に仏師の造った観音様もその姿を踏襲しているのですが、こちらは近代彫刻としての観音像なんですね。

 はじめて家の合間から横向きの姿を目にしたときの第一印象が、ウルトラマンみたい、人体っぽいと感じたわけが分かりました。

 

 境内から見上げるようにして拝観するのが一般的ですが、それ以外に、二つほどビューポイントを書いておきます。

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 一つは、近くの「谷中防災広場 初音の森」からの景観。

 上野台地の山の斜面に、 タヌキの住んでいる照葉樹林の林と芝生の広場があります。 ここから見る観音様は、斜め後ろからの姿になりますが、それもまた木々の中からヌッと立ち上がったみたいで、妙にリアルな趣があります。

 写真にありますように、桜の季節がお勧め。一休みするには絶好の場所です。

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 二つ目は、全生庵の上の脇道に入ったところからの景観。

 写真は、空気の澄んだ日の日没の少し前。こんな感じもまたいいです。ここは脇道の路上から眺めることになります。

 

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