野鳥の羽を集める

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 近くの公園で見つけた野鳥の羽を額に入れてみた。左からワカケホンセイインコ、 キジバト、 ツミ、 オナガ

 

 梅雨明けから東京では、気温35度、湿度70パーセントの日が続いている。馴染みの浅草はあい変わらず外人観光客でいっぱいですが、この蒸し暑さに参っている様子。来年のオリンピック、大丈夫なんでしょうか? テレビでもそういうこと触れないのは、もう開催まで一年を切ってどうしょうもないんで、野暮なこと口にしないってことでしょうか。

 去年の今頃は、イエローサファイアと火星の大接近に夢中になっていました。6月末に梅雨が明け、外に立ってるだけでじとーっと汗が流れてくる夜、朦朧としながら火星を見ていた。

 朦朧で思い出しましたが、蒸し暑さの酷さでは、スリランカは大変でした。日差しの強さではイラクやメキシコの方が上でしたが、それ以上に湿度が心身に与える影響の大きさを思い知らされました。

 どのぐらい酷かといえば、意識があっても考えや思考がまとまらない朦朧とした状態になっていた。もう我慢できないっていう不快感がずっと続くのですから。この時期の東京より上だった。上には上があるって言葉、あんまり気休めにはなりませんが。

 

 5月に小振りの鷹、ツミが近所の若林公園にいるという話しを書きました。 あのとき、クロマツの枝にとまっていたツミを眺めてると上から羽がクルクル回りながら落ちてきた(「雀鷹(ツミ)の声、海馬(トド)の匂い」参照)。

 それ以降、朝、公園に行くとツミの羽が落ちてないか探すようになった。しかし、なかなか見つからない。実は、あのとき羽が落ちてきたのはけっこうレアーなことだったようです。

 毎日、ツミの羽を探しているうち、いろんな鳥の羽が落ちているのが気になり出し、拾っては種類を調べるようになった。そのうち羽から鳥の種類が分かるようになりました。 都会の公園なので、そんなに種類が多くはないので簡単です。落ちている羽の多くはキジバトでした。

 

 集めた羽を額に入れてみたのが上の写真。どれもそれほど珍しい鳥ではないです。これらとは羽の色の違うメジロやジョウビタもいるのですが、都合よく羽が落ちていないので、いまのところこんなラインナップ。

 色や模様のきれいな野鳥の羽を選んだ。よくいるヒヨドリムクドリ、スズメは羽の色が地味なのでスルーしています。 鳥屋ではないので鳥の種類や分類を網羅しょうとは思っていない。並べてきれいに見えるかを選択の基準にしてます。

 野鳥観察をしている人、野鳥の専門家というか、そういう人たちのことを「鳥屋」と呼ぶらしい。ネットを検索していて知りました。鳥屋ですか・・・技術屋という言葉がありますが、そこからきてるんでしょうか。

 鳥屋から思い浮かぶのは、かなり奇矯でいて、一方、真面目で几帳面な普通人の顔もしてる人、頭の中は理工系で、性別は男、そんなイメージ。鉄道マニアのことを仲間内で自嘲気味に「鉄ちゃん」と呼んでるのと似てるなと思いました。

 似てるというのは、同好の仲間の内では自慢できても、世間ではちょっと気恥かしくて隠しているような嗜好、そのアンバランスさに萌える(?)ってところでしょうか。

 

 並べ方をいろいろ考えた末、色の配列でワカセホンセイインコの緑、キジバトの赤茶、 ツミの鷹紋、 オナガの藤色にしました。羽の色に模様、大きさ、形状といった要素を加味し、順番を替えたり、繰り返した末、こうなりました・・・細かい話ですいません。

 ワカセホウセイインコは外来種で、ペットとして飼われていたのが逃げ出し、東京の西部の世田谷、杉並、大田で繁殖している。群れで移動し、公園でもよく見かける。鮮やかなイエローグリーンの色彩は、いかにも熱帯の鳥といった感じです。インド原産の鳥で、日本の野鳥というのは苦しいのですが、羽の緑色がきれいなので、まあ良しとして並べました。

 緑と対比して見栄えがいいのはということで、隣は赤茶のキジバトにした。この緑と赤茶の対比を選んだ時点で、後の2つは決まったも同然でした。

 キジバトの尾羽は形の見栄えはいいですが、黒っぽい地の先に白い円形の模様と、どうも華やかさに欠ける。キジバトで雉っぽい赤茶色が目立つのは胴体の小さな羽の部位で、そうなると今度は左右に並んだ羽との大きのバランスが崩れる。

 比較的、赤茶が目立ち、大きさもある羽を見つけたのでそれにした。羽先の赤茶が蝋燭を灯したようにも見えます。

 では、左端がキジバト、隣にワカセホンセイインコという配列もあるかというと、キジバトの羽は色の部分が小さくて端に置くには力不足で、その配列は気が進まなかった。

 そしてキジバトの隣はツミ。羽の色は地味ですが、鷹紋の模様がポイント。配列で左右の両端は色のついた羽でないと味気ないので、この順番になるのは必然でした。

 最後に右端がオナガ。武蔵野の鳥と称されていて、地元、世田谷区の鳥にもなっている。関西には生息していないと聞きましたが、どうなんでしょうか。

 これは細長い形状と藤色がポイントで、左端のワカセホンセイインコと入れ替えてみたりもしましたが、そうなると藤色と赤茶が並ぶことになる。しかし、緑と赤茶のインパクトに比べると、藤色と赤茶のコントラストはどうも弱い。

 

 結局、上の写真のような配列になりました。途中、配列を考えるのはパズルを解いてるようでもあり、でも、普通のパズルは客観的なルールがあるのですが、こちらは印象、イメージ、感覚に基づく主観のパズル。正解のないパズルを解いてるといった感じです。

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 ところで、一番きれいなのは、カラスの羽だと思っています。遠くから見るカラスは黒いだけですが、近くからよく見ると違う貌が現れる。カラスの羽の色を表した烏羽色とか濡羽色という言葉がありました。昔から女性の黒髪と重ねて語られている。  

 そういう深淵なまでの光沢のある黒もいいですが、群青色に近い黒の構造色を斜めから見るのもいいです。それが上の写真。神社の境内の石の上に置いて撮ったのですが、下の石が透けて見えるのが分かるでしょうか。

 鳥の羽ならではのフワッとした希薄な透明感は、同じような構造色でも鉱物や貝殻、昆虫のような物体の持っている質感がない分、美しさを増しているように感じます。

 

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