世界で二番目に美しい植物
弦巻の八百屋さんによくいく。コンビニの敷地の中、駐車場の脇にあるテント村ふうの露店、そこが御目当ての八百屋さん。日によって、珍しい野菜が並んでいたり、法外に安かったりと面白く、つい覗いてしまう。
そこで見つけたアイスプラントという野菜、マット感のあるグリーンの菜っ葉といった感じ。千葉県産と書いてある。
茎から葉の裏にかけて透明な結晶(?)がたくさん付いている・・・えーっ! 樅(モミ)の木の樹脂は透明だったけど、透明な組織の植物もあるんだろうか。光に当たるとキラキラ輝いている。
粒は氷のようにも見え、英語の名称アイスプラントはそこからつけられたとか。こんな野菜というか植物、初めて見た。
調べると、学名は Mesembryanthemum crystallinum。クリスタリナムは、クリスタル(水晶)みたいに見えることから付けられた名称・・・やっぱり、見た目のインパクトが大きい。
神岡鉱山の水晶で表面を小さなアポフィライト(魚眼石)結晶が覆っているものがある。そう、あんな感じ。
即決で、アイスプラントを世界で二番目に美しい植物と認定(?)。一番目はサルヴィア・ディビノルム、この植物については、そのうち書きます。
世界一美しい昆虫については、過去のブログに書いている。まあ、勝手に言ってるだけなのですが。
美しいといっても、植物だと、薔薇や蘭のような花なのか、レバノン杉やバオバプのような木なのか、古木、大木、はたまたサボテン、盆栽、見渡す限りの小麦畑や瑞穂(水田)、棚田はと話が複雑になっていく。なので、その辺りのことは端折って、直感的に美しいと思ったわけです。
・・・う~ん、結果的に、選んでいる昆虫や今回のアイスプラントは、宝石みたいなところがポイントのように思えてきた。スピリチュアルな美というか、姿形のない、具象性のない事象。
アイスプラントの原産地は、アフリカ南部のナミブ砂漠。「ナミブ」って現地の言葉で「何もない」という意味だとか。月の表面みたいな所というか、亜熱帯の乾燥地帯で動植物が生きていくのには困難な環境だということ、伝わってくる。
いまの梅雨間近の日本だと、どこでも雑草が次々と生えてきて、ヤブ蚊、小さな羽虫、それに湿気で苔やカビが生えてくる。近所の宅地跡で整地したばかりの更地、10日も経つと雑草だらけになっている。豊葦原の瑞穂の国ってのは、こういう風土なんだなと、砂漠とは対極的です。
ナミブ砂漠には和名で「奇想天外」( ウェルウィッチア)という植物が生えていて、見学ツアーもあって観光資源になっている。誰がそんな名前つけのか、どうしたって見たくなる。
アイスプラントはサボテンと同じ多肉植物で体に水分を蓄え、砂漠の環境に適応している。水は大西洋からくる海風の僅かな水気によって生きている。さらに植物にとって厄介なのは、海風なので塩分が含まれていることだ。
塩分濃度の高い土壌に適応するため根から吸収したナトリウム(塩化ナトリウム=塩) を分離し溜めておくブラッター細胞と呼ばれる組織がある。キラキラした透明な粒がブラッター細胞です。
横道に逸れますが、自然界には透明な塩の結晶がある。塩といっても食塩のような白い粉粒ではなく、透き通った立方体の結晶の鉱物。けっこう美しい。要は、岩塩なのですが、でも、例えばヒマラヤの不透明で暖色系の色のついた岩盤片といったものと異なり、アメリカの砂漠からは人工的な結晶と見紛うようなものが採れる。
アイスプラントは、いわば植物と鉱物が合体したトランスフォーマー生命体なんですね。
この野菜はサラダがいい。癖のない味でトマトやキュウリなど他の野菜と合う。他の味とうまく調和している。パスタやスープの具でもいいですが、肉厚なシャキシャキ感がサラダにピッタリ。薄い塩味が感じられる。
また、ずっと置いたままにしていても、他の葉野菜のように萎びない、腐食しない。栽培が容易なのか、そんなに高くない(1パック100円ちょっと)。
気がつくと近所の商店街の八百屋さんにも並んでいた。ということでは、自分が知らなかっただけで、そんなに珍しい野菜でもないようです。
そういえば、弦巻の八百屋さんですが、小さなスペースの園芸コナーもある。 そこに、やけにくっきりした(?)花の鉢が並んでいた。花の輪郭がはっきりしすぎている(日本の花との比較して)・・・妙な言い方ですが。バスキアの絵の原イメージのような花(と思った)。
ガザニアという植物で、南アフリカ原産、値段は100円ちょっと。原産地がアイスプラントと同じアフリカ南部、値段も同じ100円(ちょっと)とシンクロしていて、俄然、マイブーム的な関心が沸き起こる。次回は、ガザニアの話しということで。
☆世界の香など揃えたショップ。よかったらご覧下さい。 http://alteredim.com
☆YouTubeの雑談です・・・「脱兎とモナカのおもしろ話し」。