かわいい古代 メキシコの土偶

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 上の写真、両手を腰にあてたスーパーマンのパワーポーズ、ベテイちゃん(?)みたいな頭、最初は、発掘品とは思えなかった。

 かなり偶然っぽく入手したものですが、目と上瞼、下瞼の造形の特徴から、地域は中南米、コリマの土偶かなと見当がつきながらも、本物か、お土産品の人形か迷ってました。ざっと調べたところでは、似た感じの発掘品は見当たらず、全体的な雰囲気が現代的すぎる感じがしていた。

 キュートすぎるというか、本当に古代の人々がこんな感じのものを作ったのだろうか?

 あるとき、中南米の発掘品を専門に扱っているお店を訪ねて聞いてみました。結果は本物でした。メキシコの中央部、太平洋側のナヤリー州、コリマ州ハリスコ州にかけて似た文化が栄えていた、そこから出たもののようです。

 調べると、いまから約3500年から3300年前にその地で栄えたエル=オペーニュ文化の流れをくんでいるようです。そこからは、紀元後、5世紀ぐらいの土偶も発掘されている。

 

 新聞の夕刊に「かわいい古代」という連載が載っていました。一昨年だったでしょうか。弥生時代の発掘品の中から、見た目、かわいらしいものをピックアップした小さなコラムで、毎回、見ていました。

 世界各地の古代の発掘品の中には、同じように、これってかわいいなと思うようなものがけっこうあります。あげていくと切りがないほど。

 ここで、ふと、じゃあ、かわいいにプラスして現代的なセンスのポップカルチャーふうものを選んでみたら、そんなことを思いついて、上の写真をアップしてみました。

 

 ところで、現在、縄文の発掘品の中で国宝になってるものは6点あります。そのうち5点が土偶です。その5点のうち1点、ポップカルチャーふうのものがありました。 

 縄文の女神と呼ばれている山形県舟形町西ノ前遺跡の8頭身の土偶、これは約4500年前に作られたものとは思えないような現代的、別の言い方をすれば20~21世紀のセンスで作られていると思いました。

 洗練を極めた末、余計なものがなく、かと言って単純でもない、スキッとしている。

 下の写真、山形県舟形町の発行した観光案内の小冊子「ふなたび」から見開きページを撮りました。左ページの地図に示されてますが、東北の真ん中にこういう造形感覚を持った古代文化があったって、すごいなと思います。

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 ああ、メキシコの土偶にしても、縄文の女神にしても、偶然、まぐれで現代のポップカルチャーと合致してるのかも・・・そんな解釈もあります。いまは、そんなふうには感じられず見過ごされている発掘品の中に、300年後になって、(その時点での)ポップカルチャーの感性としか思えないというような物があるかもしれない。

 

 発掘品の中に「オーパーツ」と命名されているものがある。学術的な裏ずけのある言葉ではないのですが、「out-of-place artifacts」略して「OOPARTS」と呼ばれるもので、それが作られた時代の科学技術の水準では、製作できないような物だったり、その時代にはありえないような情報が含まれている物のことです。

 オーパーツは、人に知られていない超古代文明があった証拠とか、大昔に宇宙人が地球を訪れた証拠とか、言ってる人もいる。ネットを検索すると、そんな発掘品がいろいろ紹介されています。

 世界の七不思議をはじめ、そういう話は昔からあって、それはそれでロマンがあっていいのですが、ちょっと半端な感じがしていました。オーパーツもそうですが、なんで科学技術の物差し=知性を基準にしてしか物を見ていないんでしょうか。

 古代から現代に至る過程で、人間の知性が発達してきたのは、誰もが認めてますが、意識や感覚や感性も時代によって変化してるわけでしょ、でも、そっちの方に目を向けてる人が少ないのはアンバランスに思えるのですが。

 

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