雀鷹(ツミ)の声、海馬(トド)の匂い

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 タイトル、漢字のクイズみたいですが、ツミは猛禽類、小型のタカ。トドは北海道の海にいる馬のように大きなアシカ・・・ではないですが、だいたいそんな動物。 雄の成獣は1トンにもなるとか。 正確な説明は検索すれば出てくるのでそちらをご覧ください。

 

 上の写真は、ツミの羽根。昨日、公園のクロマツの枝にとまっていたツミを見上げてると、上からクルクル回りながらゆっくり落ちてきた。雄の幼鳥の羽根です。羽根に鷹班と呼ばれる黒茶色の帯がついている。

 昔の日本の弓矢は、猛禽類の羽根が使われていてこの模様が見えます。また、家紋の「鷹の羽」のデザインもこれに由来している。

 袖振り合うも多生の縁ってことでしょうか(?)、連日、ファンみたいに眺めてたので、ツミからのプレゼントかなと思いました。

 近所の若林公園にツミの巣があることは少し前から知っていた。ここは住宅街に囲まれた公園、世田谷区役所や環七も近いところでタカが巣を作るにはいい自然環境とは思えないのですが。検索すると、近年、ツミは都市部に進出しているとか。

 昨年末、キジバトを捕まえて食べてる猛禽類を見つけ、後に、その特徴からツミだと分かりました。そのことは、以前、このブログに書きました。

 

 4月のはじめ、公園の林を歩いていて、変わった啼き声の鳥がいるのに気づいた。

「ヒュー、 ヒュー、 ヒュー、 ヒュー、 ヒュー、 ヒュー」と高い啼き声・・・カタカナで書くと、なんか変ですね、耳に聞こえた音をそのまま表記するのは不可能なので、とりあえずこんな感じです。声だけで、姿は見えない。

 野鳥にちょっと関心のある人なら、啼き声で種類は分かるはず。目を瞑っていても、この公園で数の多いキジバトヒヨドリの声がしているのはすぐに分かる。

 他の野鳥もいますが、数が少なかったり、シジュウガラのようにあまり啼かなかったり、オナガムクドリ外来種のワカケホンセイインコのように群で移動してたりと、公園内で常に聞こえているのは、キジバトヒヨドリです。

 変わった啼き声の鳥は、どれとも違いました。はて? 気になって声のする方向、クロマツの枝を探した。

 この公園は、江戸時代は長州藩の敷地の一部でした。隣接して松陰神社がある。公園になる前は、長州藩に関係した霊廟があって、戦前、計画的に植林されたと思われるのですが、公園の東側はクロマツ、西側はシイが植えられている。

 樹齢は百年近いか、すくっと伸びたクロマツはけっこう高木です。ちょうど真上の枝にそれらしき鳥を見つけた。

 地面から枝まで30メートル以上距離があって真下に人がいても枝にとまったまま動かない。キジバトぐらいの猛禽類としてはミニサイズ、丸っこい胴体から尾が伸びている。鷹班という褐色の小さな波模様が見えたのですぐに分かった。啼き声の主は、ツミでした。

 

 耳で啼き声を聞いた(聴覚)のと、目で姿を見た(視覚)の二つがつながると、それからツミについて、いろんなことが分かるようになりました。

 例えば、啼き声にいくつかのパターンがあって、カラスの群が巣の近くに寄ってくると威嚇するときの声だなと分かるとようになった。遠くで小さな点にしか見えなくても、飛ぶスピードの早さや旋回の敏捷性で他の鳥と区別がつきます。

 江戸時代の鷹匠が書き残したタカのランク付けでは、ツミはハイタカオオタカイヌワシクマタカなどと共に上物に分類されていたようです。その理由に挙げられてるのは、非常に気が強いタカだということでした。

 なるほど、と思い当たることがある。自分よりも何倍も大きなカラスが群れで来ても、ツミは巣を守るため単独でやり合ってました。B29の編隊と零戦の迎撃戦みたいです。体力というか性能で劣る分、気の強さ、闘志でそれをカバーしてたということですね。

 以前から公園内でときどきキジバトの羽根が散乱してたのですが、これはツミが捕食してたからでした。啼き声に気づいたのが4月だったのは、繁殖期に入るとよく啼くようになるからだったようです。

 また、調べていて、ツミは針葉樹の枝に巣を作る習性があることを知りました。この公園は、背の高い針葉樹がまとまって植わっている区内では稀な場所(昔、霊廟だったことから)で、ツミがここにいる理由が分かってきました。

 ツミは、ふだんは木の高いところにいて、数も少ない(雄、雌の二羽)ので、人間には気づかれないですが、公園内で独自の生活圏を築いていました。

 

 朝のテレビで、北海道の石狩湾の防潮堤にトドの群が居着いているという話題を紹介していました。なんとなく番組を観てたのですが、船で川下からトドに近ずくと、生臭い匂いがしたと言ってました。トド臭か、どんな匂いなんだろうか気になった。

 この間、近所にハクビシンが出没していて、実際、上町のボロ市通りの天祖神社でも見ています。ついでに、今月のことですが、弦巻の給水塔(詳しくは給水塔の柵の外の民家の庭)でタヌキを見ました。

 ハクビシンはジャコウネコ科です。ジャコウネコの写真を見るとハクビシンによく似ている。ともに見た目、ネコっぽくなく、強いて言えばイタチのようなキツネのような姿しています。

 そして、ジャコウネコといえば、体内の分泌物である霊猫香(シベット)です。クレオパトラが霊猫香を体に塗ってたというのですから。

 捕獲業者の話では、ハクビシンには独特の匂いがあるという。糞の話ではなく、体臭の方です。もしかして、霊猫香を彷彿とさせる匂いかも。香は、生の匂いではなく、乾燥させたものを稀釈した匂いですが。サンプルとして少量の霊猫香があるので比較して見たい。

 

 クレオパトラに会うのは不可能だけど、霊猫香をかげば、それを手掛かりに、こんな人かと分かるんじゃないか? 例えば、『十住心論』を読んでいると、空海の思考のパターンが再現できて、それを手掛かりに、こういう人なんだなと分かる(ような気になってる)。

 要は、なにか手がかりがあれば、そこからリモートビューイングできるんですね。時空を隔てた実物の全体に接するのはなかなか難しいですが、実物の無数ある断面のひとつには交差できるという感じです。

 

 話が逸れてきたので戻します。クジラ(竜涎香)、シカ(麝香)、ジャコウネコ(霊猫香)と、アニマルノートの香りを追っかけてきた手前、トドの臭いも気になったわけです。

 ・・・そういえば、インコ臭ってどんな匂いなのか知りたくて、あっちこっち尋ね歩きクンクンして、やっと分かるようになった。もともと嗅覚があまり良くないので苦労してる。この話は、別の機会に書きたいと思っています。

 

 公園にきている犬の散歩の常連の人、ドッグトレナーさんに、トド(海馬)の臭いの話をしたら、そういえばカバ(河馬)ってすごく臭いそうですね、と思ってもみなかった言葉。カバの口臭はとくに臭いとか。    

 「海」と言ったら「川(河)」とは。赤穂浪士の討ち入りは「山」と「川」でしょ。う~ん、まだまだ知らないことだらけのようです。

 

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